中古車売却で嘘の申告をしてはいけない理由!契約不適合責任を詳しく解説
中古車を売却する際には、知っておくべき知識として契約不適合責任があります。
車を売却する際に発生する契約不適合責任とは何か、その内容について解説します。
また、車の売却に関する実際のトラブル事例と、その回避方法についても詳しく説明します。
車を売却する前に知っておくべき重要な情報と車を高く買取してもらうために役立てて下さい。
車の売却時に虚偽申告はダメ!契約不適合責任について
車買取の査定時に事実を隠したり、嘘の申告をした場合には契約不適合責任に問われる可能性があります。
この責任は、売買契約の範囲内で売却された車が契約内容と一致しない場合に、売り手が負う責任を指します。
分かりやすく言えば、車を売却する際に車に不具合や違法や事例、事故歴があるにも関わらず虚偽の申告をすることなどが該当します。
契約不適合責任が発生すると、買取側からのクレームや賠償請求などのトラブルが発生する可能性があるため、売却前に車の状態や不具合などを正確に把握した上で査定を行い、売主は正直に車の状態を申告することと、双方合意の上で契約書に詳細を明記することが重要です。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任の基本概要
契約不適合責任は車の売る側と、買う側の双方で適正な取引を行うために、2020年4月1日に改正され、民法第562条~564条などに記されている内容をまとめたものです。
これは買主の保護を目的とした法律で、中古車売買においては車を売却する際に売り手側に不適合があった場合に、売り手側に対し買取側が責任を追及できる権利のことです。
つまり車買取店側としては、売主が虚偽の申告や、査定額に影響を及ぼすような情報を未申告し、後に知らされていない不具合や欠陥といった瑕疵が発覚したりといった場合は、車買取店が車を売却する人に対して、その責任を問うことできるということになります。
契約不適合責任の範囲を理解することは、売買契約を円滑に進め、後々のトラブルを避けるために非常に重要です。
参考サイト:一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会中古自動車売買に関する基礎知識
債務不履行(契約不適合責任(旧法:瑕疵担保責任))
査定時に故意の虚偽だけでな知らなかった過失でも対象となる可能性
契約不適合責任はわざと車買取店を騙そうと虚偽の申告をしたことにより買取店側が被害を被った時だけでなく、売却する側が知らなかったような車の不具合や故障、過去の事故などにおいても、不適合と見なされた場合には対象となります。
つまり車に関する問題を「知っていた」か「知らなかった」は問わず、車の状態によって契約不適合責任となる可能性があることは知っておくべきことです。
契約不適合責任の4つの権利と適用範囲
以前は瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、2020年4月1日に法が改正さ名称が瑕疵担保責任から、契約不適合責任に変更されました。
改正前の瑕疵担保責任は「損害賠償請求権」と「契約解除権」がありましたが、それに「履行の追完請求」と「代金減額請求の権利」が加わり、より買取側を守る権利が拡大されています。
損害賠償請求権
損害賠償請求権とは故意または過失によって相手に損益が生じた場合、生じた損害の賠償を請求できる権利です。債務不履行や不法行為などによって他人に損害を与えた場合には、その損害の賠償が発生します。
契約解除権
契約解除権とは、契約を解除できる権利のことを指し契約に関する不適合が生じた場合の契約解除に関する権利です。
契約不適合責任についてはどちらかというと、中古車を購入時に多いケースです。
追完請求権(補修請求権)
追完請求権とは、契約に際して不適合な状態であった場合は、修繕などを行うような請求を行うことができる権利です。
代金減額請求権
代金減額請求権とは、商品の品質や状態が適合なものでなかった場合には代金の減額を請求できる権利です。
契約不適合責任は知識として知っておくべき
法律にかかわることなので少し難しく感じますが、大事な事ですので簡単に覚えておきましょう。
契約不適合責任の適用範囲は、売買契約において売主が提供する商品やサービスが契約書の内容に適合しない場合に発生します。
具体的には、商品の品質、性能、機能、数量、種類、またはその他の契約条件に関して、契約と適合しない場合に売主が責任を負うことを指します。
例えば、自動車の売買において、エンジンや電気系統などの性能や不具合などで契約と異なる場合や、メーター改ざんなどで走行距離が実際のものと異なる場合などの事例が含まれます。
また、過去の事故歴や修復歴の未告知、車種やグレードの相違なども契約不適合責任の適用範囲に含まれます。
これにより、消費者は契約内容と異なる商品を受け取った場合にトラブルが発生した際、修理、交換、代金の減額、契約の解除などの救済を求めることができます。
契約不適合責任は、消費者保護の観点から非常に重要な役割を果たしており、売買契約における信頼関係の維持に寄与します。そのため、期間を定めて適用されることが一般的です。
契約不適合責任の適応期間はいつまで?
原則、契約不適合責任の適応期間は、不適合とされる事実が判明してから1年とされています。
民法での消滅時効があるため、5年を過ぎてしまうと権利を行使できなくなり時効となります。
中古車売却時に起こり得る契約不適合責任のトラブル事例
①電気系統やエンジントラブルの事例
中古車の売却に際して、電気系統やエンジンのトラブルは契約不適合責任の典型的な事例の一つです。
エンジンのトラブルは購入者にとって重大な問題となり得ます。
例えば、普段使用している際にエンジンに不具合があったり電気系統の不調がある、走行時に異音がする、オイル漏れが生じるなどの症状が挙げられます。
こうしたトラブルがあったにも関わらず、車の売買にて申告をせず契約を行った場合には、売主は買取者に対し修理費用や代替車両の提供などの補償を求められることがあります。
電気系統やエンジントラブルは安全性に影響する重要な事案であるため、売却前にはエンジンの状態をしっかりと確認し、定期的なメンテナンスや、問題があれば修理しておくことが重要です。
さらに、車買取時には正直に正しい情報を伝え、事故歴の隠蔽などが無いようにすることでトラブルを未然に防ぐことが大切です。
また信頼できる整備工場で点検を受け、整備記録を保管しておくことも注意点の一つです。
②オンラインや写真確認だけの車買取業者店によるトラブル
車の買取で実際の車を直接確認してくれる車買取店であれば車両状態や、車種・グレード・カラー・走行距離に加え、外装の傷やヘコミの状態や、走行に支障が出るような不具合も見つけることができる可能性は高いですが、実際の現車確認はせず、オンラインでの車売却を行っている車買取業者も多いです。
気軽に売却できるメリットもありますが、オンラインのみで写真や売主の申告にて査定額を決め買取を行う理由は、大概は遠方の場合や業者の方針ですが、売り手側の申告による確認の責任が大きくなるためトラブルも起こる可能性もあります。
③違法な改造や盗難車、または走行距離メーターの改ざん車
違法や改造や走行距離メーターの改ざんは、査定額に大きく影響を与えてしまう重要事項の一つです。
車買取の査定時に、査定士に申告していれば問題はありません。
それを踏まえた上で、買取が可能であるか、買取金額はどの程度かという判断をすることができるためです。
故意に申告をしなかったや、知らずに中古車店で購入し売却をした場合でも、売却するにあたっては車の実際の価値を偽るものであり、車買取店に大きな損害を与える行為となります。
車買取した車が盗難車であった場合は、犯罪行為であるため、もちろん車買取店も車両を市場に出まわすことはできません。実質買取額以上の損害を被る形となります。違法な改造が行われているような車両も同様です。
また、走行距離のメーターを改ざんして、実際の走行距離を少なく見せているような行為が行われている車も買取店側は損害を受けることになります。
例えば、実際の走行距離が10万キロを超えている車が、メーターの改ざんによって5万キロと表示されて売却した場合、車の査定の時点では気づくことは困難です。後に詳しく車を点検した時や、カーオークションに出品した際、過去に同様の車両が、現在よりも多い走行距離であったなどで発覚することが多いです。
走行距離の偽装は法律で禁止されており、発覚した場合には売主に対して法的責任が問われることになります。
売主が知らずに中古車を購入していたとしても、その事実は変わらないため、故意・過失は問わず、責任を問われます。
こうしたトラブルを避けるためには、中古車を購入する際に違法や形跡がないか中古車販売店に確認し、契約書をしっかり確認してください。
また車の整備記録や過去のオーナー情報を点検することが重要です。
信頼性の高い中古車販売店で購入することも一つの有効な手段で、注意を払って情報を集め慎重に判断することが求められます。
④過去の事故歴や修復歴ありの未告知トラブル
中古車の売買において、事故歴や修復歴を告知しないまま売却すると、重大なトラブルに発展する可能性があります。
車買取店側が後になってこれらの事実を発見した場合、契約書に基づく契約不適合責任を問われることがあります。
このため、買取店側から損害賠償を請求されたり、最悪の場合は契約の解除を求められることもあります。
特に、事故歴や修復歴が車の安全性や性能に直接影響を与える場合、トラブルの範囲はさらに広がります。
売却前には、車両の詳細な点検を行い、必要に応じて専門家に依頼することが重要です。
また、事故歴や修復歴がある場合は、それを正直に告知することでトラブルを未然に防ぐことができますので、車を売却する際には、車の状態や詳細に関して小さなことでも全て正直に報告しておきましょう。
⑤個人売買やフリマサイトにおける車の現状渡しの問題点
現状渡しという取引形態は、車両をその時点での状態のまま引き渡すものです。
多くは点検や整備などは行わずそのままの車両状態で引き渡す売買の方法です。
主に個人売買やフリマサイト、廃車の引き渡しなどに多く見受けられます。
車の売買を個人やフリマサイトで行う際には、売り手と買い手が直接交渉や売買を行うケースが多いため、プロによる査定や点検、不具合のチェックなどの行為は省かれることが多いです。
メリットとしては、お互いの了承のもと価格を決めることができ、買い手側も安く車を購入できることが挙げられます。
しかし、車の現状渡しには多くの問題点も潜んでいます。
まず、買い手が車両の状態を十分に把握できない場合、後々トラブルが発生するリスクが高まります。
例えば、エンジンやトランスミッションなどの重要部品に問題があった場合、安く購入することができたとしても結局は、高額な修理費用が発生する可能性があります。
また、売り手が意図的に車両の欠陥を隠していた場合、法的な責任を問われることにもなりかねませんが、現状渡しという形態では契約不適合責任が免除されることが多いため、買い手が不利益を被る可能性があります。
あくまで個人間とやり取りといえど、お互いの信頼関係が損なわれ、最悪の場合には訴訟問題に発展することも考えられます。したがって、現状渡しでの取引を選ぶ際には、慎重な検討と十分な情報収集が不可欠です。
現状渡しの契約書には、取引の範囲や期間、賠償の有無などについてしっかりと明記する必要があります。また、具体的な事例を参考にして、トラブルの発生を未然に防ぐ適応策を考えることが重要です。
契約不適合責任のトラブルを回避する方法
1.車を売却する前に車の不具合や問題がないか状態を確認する
車を売却する前に、その状態をしっかりと確認することは非常に重要です。
車買取店に依頼をして車を売却する際には、査定士が車を確認して査定を行います。
その際に車の状態もチェックしますが、あくまでこれは簡単なチェック項目によって確認を行っているだけで、細かい車両の状態までは判断しきれないため、後日問題が発覚したというケースも多くあります。
よって車の不具合や問題点は売主が責任を持って情報を伝える必要があります。
車を売却する際には売主が電気系統やエンジン、トランスミッションなどの走行に危険が及ぶ可能性のある主要部分を点検し、問題がないか確認しましょう。
次に、外装や内装の傷や凹み、シートの汚れなどもチェックが必要です。自分でも思わぬ場所に損傷があるということも多い事例です。
特に事故歴や修復歴がある場合、その情報を正確に把握しておくことが重要です。これにより、売買におけるトラブルを未然に防ぐことができます。
走行距離メーターの数値も確認し、車検証に記載されている走行距離や、過去の整備記録簿に記入されている走行距離なども見直し走行距離の改ざんが行われていないか注意しましょう。
また、タイヤの摩耗状態やブレーキの効き具合など、安全性に関わる部分も忘れずに点検してください。
これらの確認を怠ると、売却後にトラブルが発生する可能性が高まります。
売却前の車の状態を期間と範囲を定めて正確に把握し、問題がある場合は修理や整備を行うことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
2.車の売買時には契約書の内容をよく確認する
契約内容の詳細確認は、中古車売買において非常に重要です。
売買契約書には、契約不適合責任に関することや、瑕疵担保責任に関わる内容が記載されています。
車を売買する際には必ず契約書を念入りに確認し、必要であればその場で質問や不明点は担当者に確認しておくことをおすすします。
契約書には不適合な事態が発覚した際の、契約のキャンセルや、車の対応方法や費用、保証期間や保証内容も明記されているため、それらが適切であるかどうかを確認することも重要です。
さらに、契約の範囲や期間状況を事前に確認し、必要な情報がすべて含まれているか確認してください。
信頼できる買取業者と契約を結ぶ際には、契約書の内容を細部まで確認し、不明点があれば必ず事前に質問してクリアにしておきましょう。契約内容をしっかりと把握することで、安心して車を売却することができます。
3.事故歴や修復歴がある場合は必ず申告をする
車を売却する際には、故意・過失問わず、過去に事故を起こした修復歴があったことが後から発覚した場合には契約不適合責任に問われる可能性があります。
修復歴車扱いになるかどうかは、車の損傷具合により異なりますので小さいな傷を損傷して修繕した場合でも、査定士に伝えておくことが良いでしょう。
自分が中古車販売店で購入する際に、事故車として販売されていた車を中古で購入した場合には分かっているはずですが、知らずに買わされてしまったケースもあるでしょう。
中古車販売店で購入した中古車を売却する際には、自分で「修復歴」を見分けておくことも大切です。
ぜひ修復歴車を見極める方法を参考に自分の車をチェックしてみてください。
参考記事:事故車の修復歴を見分ける方法は?安い中古車購入時に役立つ情報も解説
4.車の買取は信頼できる買取業者の選ぶ
信頼できる買取業者を選ぶことは、中古車売買の成功にとって非常に重要です。
まず、業者の信頼性を確認するために、買取店のホームページを確認しましょう。
お店の雰囲気や担当者の様子、車の買取実績なども参考にできます。
そしてグーグル口コミや評価をチェックしましょう。
グーグル口コミの内容は利用者の感想や評価が反映されているため、信頼できる車買取店を選ぶ際の重要な判断基準となります。
また、出張査定サービスを行っている車買取店をおすすめします。
出張査定は多くのメリットがありますが、自宅で慣れている環境の方が落ち着いて冷静に判断や車の状況を伝えやすいと思います。
また、実際に車を確認してくれる方が、直接コミュニケーションをとることができるだけでなく、買取店側も査定で実車確認をしているためトラブルが起きにくいためです。
そして、車買取店が決まったら、実際に査定依頼を行い見積もりを取得し、価格面だけでなく、契約内容も事前に確認しましょう。
実際の契約書も見せてほしいと頼むことも有効です。
大抵の業者であれば見せてくれますが、拒まれた際には注意が必要です。
契約内容をよく教えてもらい契約不適合責任の対象や範囲、どういった事例でトラブルの可能性があるかを買取店の担当者に聞いておくことが大切です。
ここで親切に契約に関する詳細に答えてくれるような買取店は、安心することができ信頼がおける判断材料の一つにもなります。
参考記事:車買取のおすすめ業者の選び方!車を信頼して売却できるお店を解説
参考記事:車の出張査定はすごいメリットだらけ!業者の選び方と売却手順を解説
まとめ 契約不適合責任を知り、安心して車を売却しよう
車の売却おいて、契約書の内容に適合しない場合の責任である「契約不適合責任」を理解することができたと思います。
特に中古車の売買では、車の状態やエンジントラブルや走行距離メーターの改ざん、事故歴や修復歴の未告知など、多くのトラブルが発生する可能性があります。
これらのトラブルを避けるためには、車売却前に契約不適合責任に関する知識を学んでおき、自分の車の点検や事故の有無などの情報をまとめておき、契約前に契約書の内容や、不適合責任に関して担当者に確認しておくことが重要です。
その上で、信頼できる買取業者を選び、これらの対策を講じることで契約不適合責任に関するトラブルを未然に防ぎ、損害賠償などのトラブルを回避してください。
今回の記事を参考に準備をすることで安心して車を売却することができるでしょう。