ディーラー下取りはなぜ安い?下取りの査定額が低い理由を解説
2024.09.01 | 更新:2024.10.13
自動車の買い替えを検討する際、多くのオーナーが直面するのが、現在の愛車を手放す方法です。
選択肢とし、車を手放す際、多くの人が「買取」と「下取り」のどちらを選ぶべきか迷います。
両者にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、選択する際にはさまざまな要因を知っておく必要があります。
特に新車や中古車をディーラーにて購入する際に、一緒に売却をする下取りは査定価格が低いと言われることが多いです。
車買取専門業者は独自の販路を持っているため高めの査定額を提示できる傾向があります。
一方、ディーラーは多くの場合、引き取った車両を系列中古車販売店や中古車市場にて販売や出品します。
この過程で発生する諸経費が査定額に反映され、結果的に低めの評価になりがちです。
この記事では、「買取」と「下取り」の違い、そのメリットと注意点、そしてディーラーの下取り価格が低くなる理由について詳しく解説します。
またそれでも下取りを選択する場合の注意点についても触れていきます。
■この記事でわかること
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目次
車の買取とは?買取を選ぶメリットと注意点
買取とは車買取専門業者が直接車を購入する方法です。
主なメリットとして比較的高額での売却が期待でき、複数の業者から自分が気に入った店舗を選んで査定見積もりを取得できることです。
そして車種を問わず対応可能な点が挙げられます。
ここでは買取のメリットと注意点についてまとめました。
車の買取専門店で売却することのメリット
車を手放す際に、車買取専門店に売却を依頼することはたくさんのメリットがあります。
査定額・手軽さ・費用面などにおいて有利な場合は多く詳しく説明していきます。
1.高い査定額を期待することができる
買取のメリットとしては、まず複数の業者が競合することで競争原理が働き、高値での売却が期待できます。
車買取専門業者は中古車買取市場全体の動向を常にチェックし、最新の市場相場を算出することができます。
データも豊富にあるため似たような条件の車両がどのくらいの買取相場で取引されているかをすぐに調べることができます。
よって常に最新の全国規模での相場を調べ最大限の査定額を提示することが可能なのです。
2.売る側がどこに売却するか複数社を比べ検討できる
売る側としても、様々な業者から自分が気に入った業者を選んで見積もりを取得できるため、最も有利な条件を選択することが可能です。
ディーラー下取りの場合は購入した販売店にて手放すことになるため1社のみしか選ぶことができません。
しかし、車買取業者は売主がどこの買取店を選ぶかは自由ですので、複数社検討することもできます。
3.どんなメーカー車種でも高い査定額で売却ができる
車買取専門業者は、どのメーカーも取り扱っているためどんなメーカー車種でも買取が可能です。
買取店によっては、トラックやバスなども買取が可能です。
全てのメーカー車種の買取相場のデータも豊富に持っているため、どんなメーカー車種でも最大限の査定金額を提示することが出来る強みがあります。
売却したい車のメーカーや車種、年式を気にせずほとんどの車も査定してもらえるため、高く売却することができる幅広い選択肢があります。
4.早い買取代金支払いと迅速な手続きが魅力
車買取店にて、契約成立後は比較的早く代金を受け取れるため、迅速な現金化が可能です。
さらに新車購入を考えていない場合でも利用できるため、新車購入とは別に車を現金化する手段として活用できます。
これらの特徴により、買取は多くの車所有者にとって魅力的な選択肢となっています。
また名義変更や抹消登録も代行して行ってくれることがほとんどで、手続きもスピーディーに完了させてくれることがメリットです。
車の買取専門店で売却する際の注意点
一方で車の買取を選択する際には、いくつかの注意点があります。
複数の業者との交渉に時間と労力がかかり、信頼できる業者を見極める必要があります。
馴染みの車買取店であれば安心できますが、初めての車買取店を利用されるという方の方が多いでしょう。
よって車買取店の選び方でどこが良いか悩んでしまうこともよくあります。
優良な買取店を選ぶことで満足いく車売却をすることができますが、悪質な買取業者に依頼してしまったらトラブルに発展する危険性も考慮しなくてはなりません。
また市場状況により査定価格が変動する可能性があるため、契約内容を慎重に確認することが重要です。
査定額や契約内容に関しては、各買取業者にとって規定が異なります。
必ず依頼する際には、安心できるルールがしっかりあるのか?契約内容なども細かく確認しておくことが重要となります。
査定額の高さだけに目が行きがちですが、サービスやアフターフォローも含め、信頼できる買取店を選ぶことが成功への近道となります。
参考記事:車売却はどこがおすすめ?詳しくはこちらをご覧ください。
車売却はどこがおすすめ?車買取相場が高く【信頼できる車買取店】の選び方を紹介|ハッピーカーズ川崎登戸店
車の下取りとは?下取りを選ぶメリットと注意点
下取りとは新車を購入する際に、古い車をディーラーに引き取ってもらう方法です。
新車だけではなく、中古車もディーラーで販売しているものを購入する際にも同様に下取りとなります。
多くの方が下取りにて車を手放していますが、そのメリットと注意点を詳しく紹介していきます。
ディーラーにて車の下取りで売却するメリット
1.新車購入と同時にできるため手間がかからない
主なメリットとして手続きが簡単で新車購入とセットで行え、そして時間の節約ができる点が挙げられます。
下取りは手続きが一括で済むため、時間と手間を大幅に節約できます。
買取業者を探したり複数の見積もりを取得したりする必要がないのも大きな利点です。
2.ディーラーにて手放す安心感
正規ディーラーであれば取引の信頼性も高く、安心して利用できます。
ディーラーであればいままでなじみのある店舗や担当者も在籍しており、安心して車を手放すことができます。
さらに下取り価格を新車の購入費用に充当できるため、現金の準備が少なくて済み、場合によっては税金面でも有利になることがあります。
3.新車購入する引き合いで交渉できる可能性がある
新車価格と下取り価格をセットで交渉できる可能性があり、トータルでの価格交渉が可能です。
ディーラーとしては新車を購入してもらうことが最も大切です。
下取りは二の次になるため査定額が低く提示させることもあります。
ひと昔前は、新車購入する際には「値引き」できることが当たり前でした。
しかし現在は多くのディーラーにて値引きは行っていない、もしくは少額のみといったケースが主流です。
人気車種であればなおのことで、新車の納品待ちも数か月~数年待ちということもあり値引きをせずとも販売が好調であることが理由の一つです。
よって値引きはできないが、下取り額をサービスして上乗せしてくれるかの交渉はできる可能性があります。
これらの特徴から下取りは手続きの簡便さを重視する方や、新車購入と同時に古い車を処分したい方に適した選択肢といえるでしょう。
ディーラーにて車の下取りで売却する際の注意点
一方で下取りには注意すべき点がいくつかあります。
まず一般的に買取よりも査定価格が低くなる傾向があり、他社との価格比較が難しいため適正価格かどうかの判断が困難です。
また下取りは新車購入が前提となっているため、新車を購入する予定がない場合は利用できず、単独での取引が難しいという制限があります。
さらにディーラーによっては取り扱いブランド以外の車の下取りを断られる可能性があり、他社製の車は査定が低くなることがあります。
これらの特徴から下取りを選択する際には、これらのデメリットを十分に考慮し、自身の状況に適しているかどうかを慎重に判断する必要があります。
下取りは新車購入と同時に愛車の処分を考えている方や、手続きの簡便さを重視する方に適した選択肢と言えるでしょう。
なぜディーラー下取りの査定価格が低いのか?
ディーラーの下取り査定価格が低いと言われる理由にはいくつかの要因があります。
下取りをするメリットもありますが、査定額といった金額相場の面では不利になる理由を詳しく紹介していきます。
1.引き取った車を再販するためのコストが差し引かれる
ディーラーが下取りした車は、通常、中古車として再販されます。
この過程で発生するコストが査定価格に反映されるため、価格が低くなる傾向があります。
具体的なコストには以下のようなものがあります。 1. 車両の整備費用 エンジンオイル、タイヤの交換、各種部品の修理や交換等 2. 清掃費用 洗車や内装クリーニングなど 3. 保管場所のコスト 駐車場代や保管中の維持費 4. 販売準備の費用 写真撮影、広告作成、ウェブサイトへの掲載など 5. 保証にかかる費用 中古車保証を付ける場合の費用 |
これらのコストを見込んで査定価格が決められるため個人間取引や買取業者と比べて価格が低くなります。
2.ディーラーはあくまで新車販売が狙いであるため
ディーラーにとって、下取りは新車販売を促進するための手段の一つです。
そのため下取り価格よりも新車の販売に重点を置く傾向があります。
ディーラーは新車販売に重点を置く傾向があり、その理由として利益率の高さが挙げられます。
この戦略の一環として下取り価格を低めに設定し、その差額を新車価格の割引に充てることで、顧客にとって魅力的な総額を提示することがあります。
さらに下取りを通じて顧客との関係を継続的に維持することで、将来的な販売機会の創出を狙っています。
つまり下取りは単なる車両の買取ではなく、顧客の囲い込みと長期的な販売戦略の一部として位置づけられているのです。
このような販売戦略の結果、下取り価格が低く抑えられることがあります。
3.ディーラーは中古車の販売ルートが少ないため
ディーラーは買取業者と比べて中古車の販売ルートが限られています。
自社メーカーの車ではない場合でも店頭で販売することもありますが、やはり自社メーカーの車の方が売りやすいです。
そのため、他社メーカーであった場合には下取りした車を中古車オークションに出品することになります。
車買取専門店においてもカーオークションは活用されますが、ディーラーの場合は規模も大きくかかる費用も大きくなります。
■中古車カーオークションに出品する際にかかる費用
★出品や落札にかかる手数料 ★車両輸送費用コスト |
これらの要因によりディーラーは買取業者よりも保守的な価格設定をする傾向があります。
4.他社の車は自社では売りにくいので査定価格を下げる
ディーラーは、自社ブランド以外の車の取り扱いに不慣れな場合があります。
ディーラーが他社製の車を下取りする際、いくつかの要因により査定価格が低く設定されることがあります。
まず他社製車の価値や需要に関する知識が不足している可能性があり、正確な評価が難しい場合があります。
また自社ブランドのネットワークを活用した販売が困難であることも影響します。
さらに他社製車の整備に必要な設備や部品が十分でない場合もあり、これらの問題に対処するためのコストが考慮されます。
最後に不慣れな車種を扱うリスクを回避するため、そのリスクを価格に反映させる傾向があります。これらの理由から、他社製車の下取り価格が低めに設定されることがあるのです。
結果として他社製の車の下取り価格が低くなる傾向があります。
5.買取業者や査定サイトのライバルが不在のため
ディーラーでの下取りは、通常、その場で価格が決まります。
買取業者や査定サイトのように、複数の業者が競争する環境ではありません。
ディーラーでの下取りには、価格設定に影響を与える複数の要因があります。
まず競争の欠如により価格を引き上げる外的圧力が少なく、顧客が他の選択肢と簡単に比較できないため、ディーラーは価格を低く抑えやすい環境にあります。
さらに顧客はその場での決断を促されることが多く、十分な検討時間が確保できません。
加えてディーラーと顧客の間には情報の非対称性が存在し、ディーラーの方が車の価値に関する詳細な情報を保有しています。
これらの要因が複合的に作用し、ディーラーでの下取り価格が低く設定される傾向につながっているのです。
6.ディーラーは中古車ビジネスがメインではない
多くのディーラーにとって、中古車の販売は副次的なビジネスです。
主力は新車販売であり、中古車取引に対する注力度が低くなりがちです。
まず中古車市場の動向や価格設定に関する専門知識が不足している場合があり、また中古車専門の設備やスタッフへの投資も限られていることが多いです。
さらに中古車取引に伴うリスクを最小限に抑えるため、保守的な価格設定を行う傾向があります。
これらの要因が複合的に作用し、結果としてディーラーの中古車ビジネスへの注力度が低くなり、査定価格にも影響を与えているのです。
7.下取り提示する査定額は新車納車時の未確定相場であるため
これが最も下取り査定が低いと言われる最大の要因です。
ディーラーの下取りの多くは、新車を購入する際に同時に行われます。
新車の購入代金を、下取り額でまかないたい方が多いためです。
ただし、新車の納期は、半導体不足や資材や部品価格の高騰などで、近年どんどん長くなっている傾向があります。
よって人気車種になると新車オーダーしてから納車までに6か月待ちなどはよくあります。
新車を購入する際には、下取りの金額も予算に含めていることがほとんどですので、新車後宮の契約に合わせて下取り査定も行われます。
つまり6か月先など先の相場を予測して下取り査定額を決めています。
その間売却予定する車の相場が急に下がっていくリスクも考慮しなくてはいけないため、思い切った限度額の査定額は提示しづらいことになります。
納車が3か月後であったとしても、3か月後に売却する車の相場がどうなっているのかはわかりません。
そのため、相場が下がったとしても利益が出せるような金額にしておくことが多いため提示額が低いと言われるようなことが起こります。
それでも中古車の下取りを選択するときの注意点
以上のような理由からディーラーでの下取り価格は低くなりがちですが、それでも下取りを選択する場合があるでしょう。
その際の注意点を以下に紹介します。
下取り前に自分で出来るメンテナンスは行う
車の状態を良くすることで、少しでも高い査定価格を引き出せる可能性があります。
■自分でできる下取り査定前の清掃・メンテナンス
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これらの簡単なメンテナンスで、車の印象が大きく変わり、査定価格にも影響を与える可能性があります。
走行距離に注意する
走行距離は査定価格に大きく影響します。
下取り直前に長距離ドライブをするなど、不必要に走行距離を増やすことは避けましょう。
車の下取りや売却を考える際、走行距離は査定価格に大きな影響を与える重要な要素です。
そのため下取りまでの期間は走行距離を必要最小限に抑えることが賢明です。
同時に、走行距離を正直に申告することも極めて重要で、不正は厳しいペナルティの対象となる可能性があります。
ただし、高走行距離の車両であっても、適切な定期点検の記録があれば評価が上がる可能性があるため、メンテナンス履歴を丁寧に保管しておくことも有効な対策といえるでしょう。
走行距離が少ないほど査定価格は高くなる傾向にあるため、この点に注意を払うことが重要です。
査定価格が0円と言われても引き下がらない
極端に状態の悪い車や古い車の場合、査定価格が0円と言われることがあります。しかし、多くの場合、車には何らかの価値があります。
■安すぎる下取り価格を提示された際の対処法
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0円査定を簡単に受け入れず、粘り強く交渉することが大切です。
下取り査定後に車買取専門店にも査定依頼をするのが良い
ディーラー下取りで査定額の提示を受けた後に買取専門店にも査定を依頼することがもっともよい選択と言えます。
下取りにもメリットがあるため、まずは下取りにて査定額を提示してもらい、その後評判の良さそうなお近くの車買取専門店にも査定依頼をして下さい。
そうすることによって、どちらの方が金額が高いのか?
のみで決めるのではなく、対応の良さや、手続きに関して、契約などの違いも確認することができます。
総合的にどちらで車を売却する方が自分にとってあっているのかを決めることが大切です。
まとめ 下取りと買取専門店に両方査定依頼をして比べよう!
■この記事をまとめると
車買取専門店で車を売却するメリットは ディラー下取りで車を売却するメリットは 下取り価格が低いと言われる理由は 下取りでも高い査定額を引き出す方法 |
ディーラーの中古車下取り査定相場が低いと言われる理由には再販コストの反映、新車販売との関連、限られた販売ルート、他社製品の取り扱いの難しさ、競争環境の欠如、中古車ビジネスの優先度の低さなど、様々な要因があります。
しかし手続きの簡便さや新車購入とのセット割引など、下取りにも利点があります。
下取りを選択する場合は、事前のメンテナンス、走行距離への注意、そして0円査定への対応など、いくつかの点に気をつけることで、少しでも有利な条件を引き出せる可能性があります。
車の売却方法を選ぶ際は、自身の状況や優先事項を考慮し、買取と下取りのメリット・デメリットを十分に比較検討することが大切です。
時には複数の選択肢を並行して進め、最も有利な方法を選ぶことも賢明でしょう。
最終的には単に価格だけでなく、手続きの手間や時間、信頼性なども含めて総合的に判断することが満足のいく車の売却につながるでしょう。